竹内 浦次 作詞

尼子 譽一 朗詠





あはれ地上に数を知らぬ 衆生の中にただひとり

父とかしづき母と呼ぶ 貴きえにし伏し拝み

起てよ人の子いざ起ちて 浮世の風にたたかれし

余命少なきふた親の 溺れる心慰めよ

さりとも見へぬ父母の 夜半の寝顔を仰ぐとき

見まがう程の衰へに 驚き泣かぬものぞなき

樹しづまらんと欲すれど 風の止まぬを如何にせん

子養はんとねがへども 親存さぬずぞあはれなる

逝きにし慈父の墓石を 涙ながらに拭いつつ

父よ父よと叫べども 答えまさぬぞはかなけれ

あゝ母上よ子をおきて いずこに一人逝きますと

胸かきむしり嘆けども 帰りまさぬぞ悲しけれ

父死に給うそのきはに 泣きて念ずる声あらば


生きませる時なげさめの 言葉かはして微笑めよ

母息絶ゆるそのきはに 泣きておろがむ手のあらば

生きませる時肩にあて 誠心こめてもみまつれ

実に古くして新しき 道は報恩のをしへなり

世の若人よとく往きて 父母の御前にひざまずけ

世の乙女子よいざ起ちて 父母の慈光を仰げかし


老いて後思い知るこそ悲しけれ

この世にあらぬ親の恵みに

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